「解決しようとしない聴き方」——国際結婚の夫婦関係が変わる、もうひとつのコミュニケーション

コミュニケーション, 国際恋婚円満福ぶろぐ

専門職としての学びを続ける中で、先日こんな講座を受ける機会がありました。カウンセラーや心理セラピストはお金をいただいて解決のお手伝いをするのでまた少し別ですが、これはボラティアやコミュニティ相談員さん向けにどう講習するかというものでした。夫婦関係や家族関係にもすごく使える内容だと思ったのでシェアしますね。

今はアルパカになって聴いてあげよう ってアファメーションしてみる

テーマは「解決しようとしない傾聴」

カウンセラーとして長年この仕事に携わってきた私ですが、改めて言語化されたことで、自分の実践を見直す機会になりました。受講後に感じたのは、これはカウンセリングの技術論ではなく、 関係性のあり方そのもの への問いかけだということです。

助けたい」という気持ちが、時に相手を遠ざける

誰かが落ち込んでいるとき、困っているとき、私たちは自然と「何かしてあげたい」と思います。

状況を整理してあげたい。
前向きに考えられるよう、声をかけてあげたい。
早く楽になってほしいから、解決策を一緒に探したい。

この気持ちは、本物の思いやりです。でも、特に国際結婚の場面では、この「助けたい」という関わり方が、パートナーに「分かってもらえていない」と感じさせてしまうことがあります。

なぜでしょうか。

文化が違うと、「聴かれている」の感覚も違う

日本語で育った私たちの多くは、言葉にしなくても「分かり合える」という感覚を、どこかで前提にしています。空気を読む、察する——そういった文化的な土台の上に、コミュニケーションが成り立っています。

一方、英語圏をはじめ多くの文化では、「言葉にすることで初めて伝わる」という前提があります。

この違いは、「どちらが正しいか」という話ではありません。ただ、前提が違うまま会話が進むと、 双方が「誠実に関わっているのに、どこかすれ違っている」という感覚 が積み重なっていきます。

「解決しようとしない」とは、何もしないことではない

講座の中で印象に残ったのは、次の言葉でした。

> 「何も解決しなくても、十分に聴かれたと感じた人は、自分で動き出せる」

これは、沈黙や受け流しとは違います。

相手の言葉をそのまま受け取る。
評価せず、訂正せず、先を急がない。
「それは違う」「でも〜じゃない?」という言葉を、一度保留する。

これだけで、会話の質は大きく変わります。

特に、感情的になっているとき——怒り、悲しみ、イライラ——は、まず気持ちが「受け取られた」と感じることが、その後の対話の土台になります。

国際結婚のパートナーシップで、これが意味すること

私がカウンセリングの中でよく聞くのは、こういった言葉です。

「言うと、すぐ反論される」
「私の気持ちは無視される」
「解決しようとしてくれているのはわかるけど、まず気持ちを聞いてほしかった」

どれも、相手を責めているわけではありません。ただ、 「聴かれ方」への渇望 が言葉になっています。

パートナーが外国人の場合、言語の違いに加えて、「感情をどう扱うか」という文化的なスタイルの違いもあります。片方が感情を言葉にしようとするとき、もう片方は論理的に問題を解決しようとする——このすれ違いは、悪意が理由ではありません。

「聴く」ことは、できるようになっていくもの

「解決しようとしない聴き方」と聞くと、難しく感じるかもしれません。

たしかに簡単にできるものではありません。でも実際には、完璧にできなくてもいいんです。

「今日は少し、解決しようとしないで(またはジャッジしないで)ただ聴いてみよう」という小さな意図を持つだけで、会話の雰囲気は変わります。

私自身も、この講座を通じて、自分の「聴き方の癖」を改めて見つめ直しました。長く実践していても、気づきはまだあります。それが、この仕事の深さでもあります。

次回予告:義理家族との関わりと「傾聴」

シリーズの次回は、義理家族との関係に焦点を当てます。

文化的な前提がさらに異なる場面で、「わかりあおうとすること」→「わかりあおうとすることを放棄する」がどういう形をとるのか——パートナーとの関係とはまた違った難しさがあります。

もし、パートナーや家族との会話の中で「どう関わればいいか分からない」と感じることがあれば、カウンセリングの場でご一緒に整理してみませんか?

Yumi Barker  
国際結婚・異文化カップル専門カウンセラー
Perth, Western Australia

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