なぜあなたは夫と離婚したくなったのか?

暗礁に乗り上げた国際結婚夫婦が離婚を思いとどまり、円満で幸せを感じる国際結婚カウンセラーのユミ (ウィンドミル) バーカーです。
「この人と結婚したことが問題、不幸のはじまり」と思っていれば「離婚」が手っ取り早く一見ロジカルな解決法に思えるのも無理ないでしょう。
でも本当にそれが問題なのでしょうか?
本当に相手のせい? この相手を選んだ自分のせい?
この人でなかったら問題はなかった?
この人でなく他の人と結婚していたら幸せだった?
結婚しなければ幸せだった?
ポジティブより相手のネガティブな点が気になる理由
ネガティブバイアスとは?
ネガティブバイアスは、人が情報を処理する際にネガティブな要素や出来事により強く注意を向ける傾向のことを指します。このバイアスにより、ネガティブな刺激や情報により強く反応し、ネガティブなほうをよ重要に感じるという人間の本能が起こす脳のトリックみたいなものです。
進化が止まって遺伝子だけ引き継いだ?
研究*によれば人間はニュートラルの状態でも比較的悪いことに注意を払い、良いことを見逃してしまうそうです。
それは人類の初期進化の結果といわれています。人類の歴史の初期において、世界は危険な場所でした。危険で不快な脅威に注意を払うことは文字通り生死に関わる問題でした。危険に対してより敏感で、周囲の悪いことにしっかり注意を払った人々は、生き残る可能性が高くなりました。それにより、生き残った祖先のいる私たちが危険に対してより注意を払う遺伝子を引き継いでいる可能性が高いことは充分にあり得ます。
進化的な観点から見ると、ネガティブ指向は危険や脅威に対する注意が生存に有利であったためで、その名残で今でも人々はネガティブな情報をより強く処理し、そちらの方が記憶に残りやすい本能を持っているのです。
* 参照:Cacioppo JT, Cacioppo S, Gollan JK. The negativity bias: Conceptualization, quantification, and individual differences. Behavioral and Brain Sciences. 2014;37(3):309-310. doi:10.1017/s0140525x13002537/ https://www.verywellmind.com/negative-bias-4589618#citation-2
社会環境と文化も遺伝子を後押し
野生の本能だけなら、その部分は衰退しそうですが、衰退していないのには理由がありそうです。。
マンモスや恐竜の代わりに、社会的な環境や文化的な影響が人々のポジティブまたはネガティブな傾向に影響を与えています。例えば、欧米など個人主義の文化では競争や成功への焦点が強く、敗北や失敗に繋がるネガティブな要素に対する注意が高まる傾向があります。一方、日本のような共同共存主義の文化では共同体の調和や結束が重視されるため、調和を乱すネガティブな要素に対する警戒心がより強くなります。
古い本能に流されているから離婚したくなる
人間の生存本能ではみんなネガティブ指向でそれが普通だというのはわかりました。
で、普通だからってそれでいいのか?ということ。
現代の比較的安全な先進国に住む私たちが、野獣や自然災害に怯えた古代、村社会が命を握っていた時と同じ本能に無意識に振り回されて、不安になりながら暮らしていくのは理にかなっているでしょうか?
人は危機回避本能でネガティブな情報や出来事により強く反応しやすい傾向がある一方で、ポジティブな情報や出来事に対することへの意識はそこまで高くないとの研究も出ています* ⇒ ポジティブには割と(人によってはかなり)鈍感です。
つまり、ネガティブには無理なく自然になれちゃうけれど、ポジティブな情報を受け取ったり意識できるようになったりするためには、それなりの教育や意識がいるということ。
国際結婚夫婦カウンセリングで良くある日本人側の不満に、「パートナーがかなりポジティブ思考なので、不安」というのは多いです。
こういうと怒られそうですが、じつはポジティブ志向の方が進化しているということみたいですね。
成功者もポジティブ思考が多いです。
あなたは、ネガティブ指向で幸福だったり、幸せたったり、ラッキーだった人をどれだけ知っていますか?
夫婦関係におけるネガティブバイアスとは?
そして、やっと本題。
夫婦関係においても、ネガティブなバイアスが存在することをご存知でしょうか?
それは、夫婦間でのネガティブな出来事や発言により、そこに注意が向き、より時間をかけて思い巡らせデータとして蓄積していく傾向のことを指します。
つまり、普通にしていても物事や相手のポジティブな要素よりもネガティブな要素に自然に意識が引っぱられ、記憶に刻まれるということです。
この心理現象は、「なぜ夫婦関係において相手の悪い印象を払拭するのが難しいのか、また過去のトラウマがなかなか忘れられないのか」を説明しています。

先ほどの説明によれば、わたしたちは、ほとんどの場合においてネガティブな要素に素早くよく気づき、後でそれをより強く何度も思い出す傾向があります。
特に日本人は文化的に心配症でネガティブ指向で教育されていますしね。
転ばぬ先の杖/石橋は叩いて渡る/出る杭は打たれる・・・。
余談ですが、現代は舞台であがっちゃうのが怖いから、縁起や歌やダンスの練習は一生懸命するけれど、舞台に上がらないようにしている舞台役者で成功したい人みたいな生き方をしている人が多いような気がします。
では、結婚前にネガティブバイアスが発揮されなかったのはなぜ?
これぞ、恋愛ホルモンやら、もっとネガティブな家族や仕事や人間関係からの逃避やら、年齢や周りの期待プレッシャーの方が危険度が高く感じていた、当初は結婚や相手に危険を感じていなかったからだったり、もっと深い愛情を感じて危険ではなく安心を感じたからかもしれません。
ここ大事ですが、本当に本能的に危険を感じていたら、たとえ何かからの逃避であったとしても結婚はしていなかったはずです。
つまり、あなたが結婚した相手にネガティブな思いを募らせ、離婚して逃げたくなっているのは、相手のせいではなくて、あなたのネガティブバイアスという未進化の本能のせいである可能性がある、ということです。
もちろん一部の人は、人格障害の人に魅力を感じてしまう傾向とかアスペルガーの人をクールに感じて恋してしまいカサンドラ症候群になるケースもあるのですが、それはネットで見るから多く感じるものの、限られた一部です。
ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事の方が記憶に残りやすい。
私の経験からも国際結婚において、日本人は非日本人パートナーより多く
- 賞賛よりも侮辱を思い出す。
- ネガティブな刺激に対してより強く反応する。
- ポジティブなことよりもネガティブなことを頻繁に思い出したり考える。
- ポジティブな出来事よりもネガティブな出来事に対してより強く反応し、忘れない。
と思います。個人的な感覚なので証明しようは無いですが。
後ステージによります。関係が悪くなったステージなら相手の方がネガティブなことはあります。
でも最初は違いませんでしたか?
私は日本人同士の中ではポジティブ能天気派だと自他ともに認めていましたが、夫からするとまだネガティブよりだそうです。今でもポジティブさに関しては自分の足元にも及ばないときっと思っています(笑)
日常のネガティブバイアス
国際結婚夫婦の日常のネガティブバイアスとはどんな例があるでしょうか?
例えば、シンクの食器を食洗器に入れておいてくれたことには気が付かないか気が付いてもなんとも思わないけれど生ごみを捨てていなかったことが不満とか?
食洗器から食器を出してしまっておいてくれたことには気が付かないか、何とも思わなかったのに、間違った場所にしまってある食器を見て注意しなければ気が済まないとか?
誕生日にお花やプレゼントをもらって嬉しいことは嬉しいけれど、お花を長持ちさせるためにエアコン切れなくて不経済とか?2年前の誕生日をすっかり忘れられたことをいまだに覚えているとか?
プレゼントにアクセサリーを贈られたことに関しては「どうもありがとう」とは言ったものの、趣味の悪さとそれにつり合わない値段の方が後々まで気になって仕方ないとか?
あまり病気にならず健康で毎日働いてくれていることは何とも思わず、病気になると不摂生や自己管理のなさを指摘し、たまには運動しないとろくなことにならないと脅し、後日、健康のためにジムに行くと言われたら、無駄使いとかどうせ続かないくせにと思うとか?
以上過去の私の体験談(笑)ネガティブバイアス全開💦
以下のようなストーリーもも良くあると思います。
例えば、お天気の良い休日のランチタイム、あなたが楽しくいい気分でいたときに、夫(妻)があなたにとってムッと来る発言をしたとします。その後、あなたはその言葉を気にして、残りの時間を使って、その出来事を思い出し、じっくりと考えてしまうことがあります。
一旦煮えたぎったはらわたをさらにコトコト煮込む感じ(笑)
そしてそんなことはすっかり忘れているか些細なことだと思っている夫(妻)に「今日はいい一日だった。楽しかったね。」と言われたりした場合、あなたは(何言ってんのこの人、私の気も知らないでしゃあしゃあと)と思い無言無視するか、ボソッとひとこと「私はそうでもないけど」と答えるかもしれないですね。
実際、たとえそのムカついた発言という1つのネガティブな出来事があったとしても、全体的には悪くない、むしろ良い日だったという事実があったとしても、ネガティブ本能はそれをなかったことにしてしまう。
幸せ拒否、拒幸症候群と呼びたい
それ、幸せを自ら拒否しているようなものですよ。これが、ネガティブなバイアスの影響により、悪い出来事により多くの注意が行き、それが実際よりも重要な問題と捉えてしまう⇒不幸のはじまり傾向です。
実はこのパートナーへのネガティブバイアスは両親の仲が良くなかったり、子供のころに十分な愛情を受けられなかったりした人がより多く持つとも言われています。結婚=危険という刷り込みかもしれませんし、結婚=夫婦喧嘩という刷り込みかもしれません。
問題は、日常のネガティブなバイアスが積み重なって「離婚したい!」という思いに磁石のように引き寄せられてしまうことです。
いいですか? 人間の野生の本能はネガティブなバイアスによりちょっとでも危険(というより不快)要素と認識したら、理解や事実確認の前に「逃げろ!=離婚」と信号を出すのです。
誰のせいですかね? 夫(妻)のせいですか?
ここでやっぱり「でも夫(妻)のせい」と言えるひとは、あっぱれ(笑)
離婚したほうが少なくとも相手は幸せになると思います。
いつまでも加害者にされたまま、被害者意識のある人と同じ屋根の下に暮らすのは不幸でしかないでしょう。
結論
ということで、結論は「夫婦関係において、相手のせいにする前に、自分のネガティブなバイアスに気がつくことは重要」です。
夫や妻のせい(過失はあるにせよ)ではなくて、このネガティブバイアスという野生の本能が真実の眼を曇らせ、命の危険があるわけでもないのに「逃げろ!」と信号を出している可能性があるということを知っておいてください。
あなたの思うとおりに日々危機回避だけしていても、「万が一」を毎日考え続けて不安の種がなくなることは一生ないでしょう。幸せを感じるひまもない人生を生きますか?。
完璧な人はどこにもいないので、相手が変われば大丈夫なのかは良く見極めましょう。
あなたが国際結婚において不幸を避けるだけでなく、幸せも感じる家庭や人生を築きたいなら、もしかしたら日本人には少ないパートナーのポジティブさに助けられるかもしれないです。
不幸を避けるために、幸せになれるかもしれないポジティブ志向から逃げて、一体どこに行き着きたいのでしょうか?
つい見逃したり無意識にやり過ごしてしまう、夫婦の関係におけるポジティブな要素や喜ばしい出来事に気が付き、感謝できれば、ネガティブ本能とバランスを取ることができます。
夫婦関係をより良好に保つために、ネガティブなバイアスに振り回されずに、ポジティブな部分は拡大鏡を使って観ることを心がけるのは、離婚回避どころか幸福な人生の鍵を手に入れたようなものですよ。
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